解剖学においては、12種類ある脳神経の名称や機能の記憶が必要です。しかし、他にも多数の暗記事項がある中、できるだけ簡単な覚え方が知りたいという方も多いでしょう。そこで本記事では、脳神経を簡単に覚えられるゴロ合わせを紹介します。12脳神経の働きについてもそれぞれ解説するので、ぜひご参考にしてください。
12種類の脳神経をゴロで覚えよう
解剖学で覚えるべき脳神経は12種類もあります。これほど数が多いと、ひとつひとつ丁寧に覚えるよりも、ゴロ合わせでひとまとめに覚えた方が効果的です。
ここでは、12脳神経を覚えるためのゴロ合わせを3つ紹介します。ぜひ繰り返し口ずさんで覚えてみましょう。
一般的なゴロ合わせ
嗅神経(嗅いで) 視神経(視る) 動眼神経(動く) 滑車神経(車) 三叉神経(三つ) 外転神経(外) 顔面神経(顔) 内耳神経(聴く) 舌咽神経(舌) 迷走神経(迷う) 副神経(副) 舌下神経(舌)
脳神経のゴロ合わせの中では非常にポピュラーなものです。大学の講義などで聞いたことがあるという方も多いでしょう。
嗅神経(急に) 視神経(自) 動眼神経(動) 滑車神経(車) 三叉神経(三) 外転神経(転で) 顔面神経(顔が) 内耳神経(ない) 舌咽神経(全員) 迷走神経(迷う) 副神経(服の) 舌下神経(下)
このゴロ合わせは下記の書籍で紹介されているものです。看護師国家試験向けの本ですが、イラストとゴロ合わせを多用して覚えやすい工夫がされているので、一読してみることをおすすめします。
【参照元】「看護師国家試験のためのゴロあわせ集 かんごろ」
脳神経(のっけから) 嗅神経(嗅いで) 視神経(視る) 動眼神経(眼) 滑車神経(科) 三叉神経(さん) 外転神経(外) 顔面神経(面) 内耳神経(な) 舌咽神経(ぜ) 迷走神経(迷彩) 副神経(服に) 舌下神経(した)
このゴロ合わせも書籍からの引用です。この本もゴロ合わせとイラストをセットで使うことで、直感的に暗記しやすいような工夫がされているのでおすすめです。音声データ付きなので通学中などの隙間時間に耳からも覚えられます。
【参照元】「解剖生理学 超速!ゴロ勉」
脳神経それぞれの種類と機能
続いては12脳神経それぞれの機能について、一部ゴロ合わせも交えて解説します。
嗅神経(Ⅰ)
【嗅神経のにおい】
嗅神経は嗅覚を司る感覚神経です。12脳神経の中で、脳幹に収束しないのはこの嗅神経と視神経しかありません。嗅神経には運動機能がなく、純知覚性の性質を持っています。文字通りの機能なのでそのまま覚えるといいでしょう。
視神経(Ⅱ)
【視神経で見る】
視神経は視覚を司る感覚神経です。それぞれの目の奥から脳に直接つながっています。視神経は、外側直筋と上斜筋を除く眼筋を支配しており、眼球運動にもかかわっているのが特徴です。視神経に障害が出ると、視力障害や視野欠損などの原因になります。視神経もそのまま覚えて差し支えありません。
動眼神経(Ⅲ)
【動画を見るときは動眼神経を使いましょう】
動眼神経は、上眼瞼の挙上や眼球運動を司る運動神経です。動眼神経に障害が出ると、二重に物が見えてしまう複視や、瞳孔が開いたままになってしまう散瞳などの原因になります。
滑車神経(Ⅳ)
【滑車に揺られて目が回る】
滑車神経は眼球運動(内下転)を司る運動神経です。滑車神経に障害が出ると、眼球運動障害や複視などの原因になります。
三叉神経(Ⅴ)
三叉神経は12脳神経の中でも最大の神経です。眼神経、上顎神経、下顎神経の3つに枝分かれしていることから、このように呼称されています。三叉神経は顔面の感覚と運動の2つの機能を併せ持っており(混合神経)、これに障害を受けると顔面の感覚異常や咀嚼筋の筋力低下などが起こります。
外転神経(Ⅵ)
【眼は外に回転】
外転神経は眼球の外転を司る純粋な運動神経です。外転神経は外側直筋の運動にかかわっています。外転とは、この外側直近が収縮した際に、眼球が外側を見るように動く現象のことです。外転神経に障害を受けると、外転運動障害や複視の原因になります。
顔面神経(Ⅶ)
顔面神経とは、主に表情筋を司る運動神経です。顔面神経は顔面に分布しています。顔面神経に障害が出ると、瞬目反射(角膜反射)の消失、表情筋の麻痺、涙液や唾液の分泌低下、味覚障害などが起きます。
内耳神経(Ⅷ)
内耳神経とは、聴覚と平衡感覚を司る感覚神経です。内耳神経は前庭神経と蝸牛神経(聴神経)から構成されており、前庭神経が身体の平衡感覚、蝸牛神経が聴覚を担当しています。内耳神経に障害が起きると、めまい、耳鳴り、難聴などの症状が出ます。
舌咽神経(Ⅸ)
舌咽神経は口と喉の知覚(触覚や温度覚など)や運動、味覚を司る混合神経です。延髄から咽頭まで伸びています。舌咽神経に障害が起きると、嚥下障害や構音障害などの原因になります。
迷走神経(Ⅹ)
迷走神経は脳から腹部まで長く伸びる副交感神経系の主要な神経です。この神経は、消化、心拍、血圧などの身体機能を制御しており、発話や呼吸運動などにもかかわっています。迷走神経に障害が起こると嚥下障害のほか、片側麻痺の場合に嗄声、両側麻痺の場合に呼吸困難などの症状が出ます。
副神経(Ⅺ)
副神経は、首と肩の動きに不可欠な2つの筋肉、胸鎖乳突筋と僧帽筋の運動を司る神経です。また、咽頭の運動機能にもかかわっています。副神経に障害が起きると、肩や首を正常に動かせなくなるなどの問題が出ます。
舌下神経(Ⅻ)
舌下神経は舌の運動を司る神経です。延髄から舌まで伸びています。舌下神経に障害が起きると舌の偏位・構音障害・嚥下障害などが起こります。
機能ごとの脳神経の分類をゴロで覚える
続いては、脳神経を運動神経・感覚神経・副交感神経の3つの機能に分けた場合のゴロ合わせを紹介します。
なお、12脳神経はそれぞれの位置に応じて、1から12までの番号が振られています。たとえば嗅神経なら第一脳神経という形です。
以下で紹介するゴロ合わせも、それぞれの脳神経に振られた各番号の知識が前提になっているのでご注意ください。
運動神経のみのゴロでの覚え方
運動神経系5つを覚えるためのゴロ合わせです。
運動神経(運) Ⅲ動眼神経(三) Ⅳ滑車神経(四) Ⅵ外転神経(郎) Ⅻ舌下神経(胃に) Ⅺ副神経(いい)
感覚神経のみのゴロでの覚え方
感覚神経系3つを記憶するためのゴロ合わせです。
Ⅰ嗅神経(いち) Ⅱ視神経(に) Ⅷ内耳神経(は) 感覚神経(感覚)
自律(副交感)神経のみのゴロでの覚え方
副交感神経系4つを覚えるためのゴロ合わせです。
副交感神経(服交換) Ⅲ動眼神経(み) Ⅶ顔面神経(な) Ⅹ迷走神経(と) Ⅸ舌咽神経(区)
MediE医師講師 凛子 先生のワンポイントアドバイス
私は12脳神経を記憶するために、友達の名前に関連付けて自分なりのゴロ合わせを作っていました。身内ネタを使うことで、友人を交えつつ楽しんで覚えられたと記憶しています。
本記事で紹介したゴロ合わせを使うのもいいですが、自分が覚えやすいようオリジナルのゴロ合わせを作ってみるのもおすすめです。
まとめ
解剖学においては12対の脳神経の名称や機能を覚えなければなりません。
これらの名称や感覚神経・運動神経・自律神経といった諸区分をすべて覚えるには、本記事で紹介したようなゴロ合わせを活用するのがおすすめです。友達と一緒に独自のゴロ合わせを考案して楽しんで覚えるのもいいでしょう。
MediEでは現役医師講師が一人ひとりの生徒に寄り添った最適なカリキュラムを作成し、国試合格に向けた勉強をサポートします。
勉強方法に迷ったり、一人での勉強に行き詰まりを感じたりしている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
オンラインでの受講はこちらをご参照ください。
通学の受講はこちらをご参照ください。