この記事は?の記事の続きです。
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Yes/Noで問題提起をする
今回は与えられた課題文に対して「“医師の目線で”YESかNOかで答えられる問題提起をする」ということを念頭に置いて例題をやってみましょう。それでは早速やっていきましょう。
慶応義塾大学医学部2019年度入学試験 小論文
「児童虐待について思うことと、なくすためにはどうしたらよいか、400字で考えを述べよ(慶応義塾大学医学部 入試)」
以下模範解答の一例です。「“医師目線で”問題提起する」ということはどういうことか、見ていきましょう。
「私の理想とする医師像は、コミュニケーションを大事にする医師であるが、この視点で児童虐待は医師の力で無くすことはできるのだろうか。」(序論)
「臨床医として患者さんを診るならば、被虐待児を診るときは、虐待をしたと思われるその子の親や周囲の大人に病院に連れられてきたときだろう。しかし、当該者の中だけでコミュニケーションを取って被虐待児や大人たちに適切な治療を施すだけでは児童虐待を無くすことは難しいと考える。」(本論1)
「今はSNSなどで個人が発信できる時代である。講演会を開くよりはるかに手軽に情報を発信できるため、個人を特定できない状態あることが大前提であるが、医師目線で見た児童虐待の悲惨さを発信していくことが有益であると私は考える。」(本論2)
「以上より、SNS上で色んな方々とコミュニケーションを取り広く周知してもらえるようにいち個人が情報発信することが児童虐待の減少に有用ではないかと考える。」(結論)(380字)
理想の医師像を少し応用の使い方をしていますが、順に解説していきます。
「医師目線でYes/Noで」とは
まず「“医師目線で”」というのは最初の一行目のこの部分です?
ここでは「児童虐待は私たち医師の力で無くすことはできるのだろうか。」と書いています。
ここで、どうやればYes/Noで答えられる問題提起ができるようになるか?という疑問が聞こえて聞えてきそうですが、言いにくいのですが慣れといえば慣れです。自分の意見をどういう方向性で書いていこうか思い描きながらやってみましょう。
最後に例題をあげてみるのでYes/Noで答えられるようにしてみてください。
話しを戻しましょう。
解説「序論」
序論ではお約束の理想の医師像をあげています。私は以前、理想の医師像を以下のように書きました。
具体的には、周囲の医療従事者や患者さんとのコミュニケーションを大事にし、「先生に出会えてよかった」と言ってもらえる医師です。
この理想の医師像から都合のいい部分を抜き出して書いています。実際に書いたものを見てみましょう?
「私の理想とする医師像は、コミュニケーションを大事に知る医師であるが、この視点で…」
序論では、書こうとしていることの伏線となるようにフックをかけておきます。私はこの課題を見た時点で、自分の中での「理想の医師像」ではうまいこと書けないと何となく感じました。
その理由として、私の書いている「理想の医師像」は目の前の患者さんを救う臨床医の視点で書いていたからです。今回の課題は「児童虐待について思うこと、そしてなくすことについて」ですので、目の前の患者さんとのこのとを論じていてもしょうがないと感じました。
解説「本論」
本論では現代の情報発信の方法を交えて論じていますが、ここは皆さんが考えることを書いてみてほしいと思います。具体的なコツとして、今回は病院に行く以外で「現代の医師をどこで見かけるか」という視点で考えましょう。恐らく多いのはテレビかSNSではないでしょうか。私はそう思ったのでそこを用いて本論を書いています。
ここでも大事なところは“医師の視点”で書くということです。ちゃんと一貫していますし、少し応用していますが話のベースは「理想の医師像」から派生しています。
解説「結論」
結論で大事なのはやはり「理想の医師像」に帰着することです。今回は「コミュニケーション」の部分に帰着させていることが肝要です。
まとめ
まとめます
「理想の医師像は〇〇である、では◇◇はできるのだろうか。」
?
「しかし、理想だけではこの課題は解決できない」
?
「それならば△△しよう」
?
「結論、(理想の医師像の派生バージョン)をすることが良いだろう。」
理解できたでしょうか?
問題提起の練習問題
間違い例
Q. 終末期医療についてについて
A.終末期で医師ができることは何だろうか
Q.少子高齢問題について
A.少子高齢化で医師ができることは何だろうか
Q.チーム医療について
A.チーム医療での医師の立場は何だろうか
Q.情報化社会と医療について
A.情報化社会は医療に何をもたらしたのだろうか
正解例
Q. 終末期医療についてについて
A.終末期は医師の関りを減らすべきだろうか
Q.少子高齢問題について
A.少子高齢化は医師の力で解決できるだろうか
Q.チーム医療について
A.チーム医療での医師はリーダーなのだろうか
Q.情報化社会と医療について
A.情報化社会は医療にとってプラスなのだろうか
これを見て普段からこのように考える癖をつけてみてください。
この記事を書いたのは
医師、株式会社YTN代表、医療エンタメ主宰。留年も浪人も経験。会社経営とともにフリーランスの医師国家試験対策講師を行っている。このウェブページではライターとしてだけではなく、寄稿された文章の校正・校閲、編集作業も行い、各方面との連絡調整を行っている。取締役というよりは取り締まられ役。記事ではおもしろ記事担当。