課題シート
【課題シート1】
あなたは初期研修医です。外来にやってきた患者さんを問診してください。
患者氏名:〇〇△△さん 26歳 女性
主訴:摂食早期の満腹感と心窩部痛
【課題シート2】
身体所見は以下の通りです。追加の診察を行なってください。
意識は清明。身長158cm、体重49kg。体温36.5℃。脈拍70/分、整。血圧122/70mmHg。呼吸数14/分。
【課題シート3】
指導医にこの患者について報告してください。
患者役用シート
O(onset発症様式):6か月前から摂食早期の満腹感を自覚し、特に脂っぽいものを食べると心窩部痛が出現するため受診した。
P(palliative/provocative 増悪・寛解因子):脂っぽいものを食べると心窩部痛が出現する。
Q(quality/quantity 症状の性質・ひどさ):体感では結構ひどい。
R(region/radiation 場所・放散の有無):特になし
S(severity/associated symptom 程度・随伴症状):特になし
T(time course 時間経過):6か月ほど前から
P(past medical history 既往歴):特になし
A(allergiesアレルギー):特になし
M(medication 服薬歴):サプリメント(マルチビタミン、鉄錠剤、亜鉛錠剤)
H(hospitalization 入院歴・手術歴):入院・手術はしたことがない。輸血歴なし
U(urinary 排尿):変化なし
G(gastrointestinal 消化器症状・排便・食欲・体重変化):便秘、下痢、血便なし。食欲は低下。ここ6ヶ月で体重は3kg減少している。
S(sleep 睡眠):変わりはない
F(family 家族歴):特になし
O(OB/GYN妊娠歴・月経歴):28日型、整。最終月経10日前。
S(social history 喫煙歴・飲酒歴・職業・趣味・渡航歴・ストレスなど):
飲酒:なし
喫煙:なし
職業:事務員
S(sexual history 性的活動):特定の相手のみ
解釈モデル:原因が何なのかはっきりさせたい。
現 症:眼瞼結膜は貧血様、眼球結膜は異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛や腫瘤を認めない。四肢ではややツルゴールが低下している。
その他身体診察で得られる所見はない。
ポイント
想定疾患は機能性ディスペプシアとなるのですが、いわゆる除外診断となります。
今回の疾患を当てられる学生はあまりいないのではないかと思います。
このシートで学んでほしいこととしては「問診や診察をしてもよく分からない疾患に対して、ご自身がどのように振る舞っていたか」というところを振り返っていただきたいと思います。
OSCEは疾患あてゲームではないとは言いつつも、疾患は想定されており手順が間違えておらず正しい思考順序であれば想定疾患にたどり着くはずです。しかし、何かの拍子でど忘れしてしまったり、疾患がどうしても思いつかないことがあるかと思います。そんな時にも患者さんの前で慌てずに態度に出さずにいられていたか、患者役の友人を通して聞いてみてください。
鑑別疾患:妊娠、過敏性腸症候群、慢性膵炎、逆流性食道炎、食道アカラシア
注意事項としては身体診察時に、医師役が男性の場合は女性医療従事者を同席させるなどの配慮を行いましょう。