医師国家試験の当日、会場の雰囲気にのまれて緊張してしまう方も多いようです。勉強の成果を発揮するために、事前にどのような対策を立てるのかはとても重要です。本記事では、医師国家試験の基本情報とあわせて、時間割を意識した試験対策として効果の高い方法、当日に集中力を維持するためのポイントを解説します。
第117回医師国家試験は2月4日・5日に決定
厚生労働省により、第117回医師国家試験の施行は、令和5年2月4日および5日と公表されました。詳しい時間割は、まだ発表されていないため、過去の実施状況を参考にしながら準備に取り掛かりましょう。
第116回までの医師国家試験の時間割
第114回~116回のスケジュールは、1日目・2日目とも以下の時間割で行われました。第112回の医師国家試験出題基準が改定されてから、試験日数は3日間から2日間に変更されています。
●第114回~第116回の時間割
【1日目、2日目共通】
- 各論: 9:30~12:15/165分 75問
- 必修:13:35~15:10/ 95分 50問
- 総論:16:00~18:30/150分 75問
●第112回~第113回の時間割
【1日目】
- 各論: 9:30~12:15/165分 75問
- 必修:13:35~15:10/ 95分 49問
- 総論:16:00~18:30/140分 66問
【2日目】
- 各論: 9:30~12:15/165分 75問
- 必修:13:35~15:10/100分 51問
- 総論:16:00~18:30/155分 84問
第116回医師国家試験1日目の出題数の内訳を見てみましょう。
各論:一般15問、臨床60問
出題形式:5肢1択(61問)、5肢2択(9問)、5肢3択(5問)
必修:一般25問、臨床15問、長文10問
出題形式:5肢1択(49問)、計算(1問)
総論:一般35問、臨床25問、長文15問
出題形式:5肢1択(57問)、5肢2択(15問)、5肢3択(2問)、計算(1問)
第114回~第116回は1日目、2日目ともに同じ時間割でしたが、第112回~113回の時間割と出題数は、1日目と2日目で異なるものでした。
第111回以前は時間割が違っていた
医師国家試験のスケジュールは、過去に何度か変更されています。第111回以前は、3日間にわたり行われていましたが、第112回以降は日数の短縮により、1日あたりの試験時間が長くなっています。第117回の変更はないものの、今後、変更となる可能性はあるようです。
●第111回以前の時間割
【1日目】
- 各論: 9:30~11:30/120分 60問
- 必修:13:15~15:00/105分 62問
- 総論:16:00~17:00/ 60分 31問
【2日目】
- 各論: 9:30~11:30/120分 60問
- 必修:13:00~15:00/120分 69問
- 総論:16:00~17:00/ 60分 31問
【3日目】
- 総論: 9:30~11:30/120分 69問
- 必修:12:45~14:00/ 75分 38問
- 各論:14:40~17:00/140分 80問
医師国家試験本番のスケジュールは?
国家試験の当日を、どのように過ごすかも重要です。1日がかりの試験に万全の状態で臨むためには、勉強だけでなく、体調管理も徹底しなければなりません。医師国家試験の合格率は、約9割と比較的高い水準になっています。しかし、決して難易度が低いわけではありません。試験の直前で慌てることのないように、余裕を持って準備を進めるようにしましょう。
試験前日までの過ごし方
無事に出願が受理されると、1月中旬~下旬ごろ、受験票と受験者留意事項が届けられます。まず受験会場をチェックして、アクセス方法を調べましょう。試験の当日、電車の遅延や交通渋滞に巻き込まれる可能性もあります。タクシーの利用も含め、アクセス方法は複数あると安心です。
また会場近くのホテルに前泊する場合、環境の変化によってリラックスできないことも考えられます。とくに、環境が変わると寝付けない方は、睡眠不足を防ぐためにも十分な対策が必要です。試験前夜には、さまざまな不安を感じるものですが、勉強はほどほどで切り上げて早めに就寝するようにしましょう。
試験の当日を万全の状態で迎えるためのポイントをまとめた記事があります。ぜひ、参考にしてください。
試験当日の1日の流れ
第 116回と第115回の集合時刻は、2日間とも8:45、説明開始時刻は8:55でした。試験会場に向かう途中で、通勤ラッシュの時間と重なってしまった場合には、余計な体力を消耗してしまう可能性もあります。試験で最大限の力を発揮するためにも、混雑しやすい時間帯は避けましょう。早めに自宅を出るほか、タクシーでの移動を選択するなど、体力を温存することが大切です。
注意事項などの説明が終わり、試験を開始するまでの間には、問題用紙の配布や本人確認が実施されます。そのため、勉強に費やす時間はほとんどありません。お昼休みと午後休みには、短時間ながらスマホやタブレットを使える時間があります。試験終了後、会場を出られる時間は19:00過ぎになるケースもあります。
試験当日の持ち物リスト
当日の持ち物に不備があると、焦りが思わぬミスを引き起こす原因になるかもしれません。落ち着いて試験に取り組むために、あらかじめ持ち物リストを用意しておきましょう。
【持ち物】
- 受験票
- 鉛筆(シャープペンシル不可)
- 鉛筆削り
- 消しゴム
- 黒ボールペン
- 腕時計(電卓、通信、メモなどの機能があるものや置時計は不可)
- 上着やカイロなどの寒さ対策
- 昼食
- 飲み物
- 無地のマスクやポケットティッシュ
- 常備薬
- 勉強道具
- 耳栓や携帯音楽プレーヤー
医師国家試験当日の持ち物は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
医師国家試験の注意点
合格を目標に掲げ、どれだけ多くの時間を費やして準備を進めてきても、ベストなコンディションで試験に臨めるとは限りません。悔しい思いをせずに済むよう、当日を想定した対策を立てて、自分の集中力やモチベーションを維持できるようにしておきましょう。
周囲の声で気が散ることがある
短い休み時間を使い、次の試験に向けて気持ちを整えるのはとても重要なことです。周囲から聞こえてくる声が気にならないように、耳栓で周囲の音を遮断したり、音楽プレーヤーで好きな音楽を聴いたりすれば、自分の世界に集中できます。終わった試験をいつまでも気にしないことが大切です。
会場が寒いことがある
医師国家試験は、1年で最も寒い2月に行われます。会場によっては屋内でも寒さを感じるため、暖かい服装、カイロを持参するなどの防寒対策が必要です。なお、第116回医師国家試験では、換気のために窓を開放する時間帯が設けられていました。
また、試験中でもトイレには行けますが、時間を無駄にしないためにも事前に済ませておきましょう。ひざ掛けにブランケットや上着を使用するのは、カンニング防止の観点から禁止されているケースもあるため注意が必要です。
休み時間にはほとんど勉強できない
午前の試験終了時刻は12:15、午後の試験説明開始時刻は13:10です。答案用紙の回収や昼食の時間を差し引くと、じっくり勉強するほどの時間は残りません。また、午後の休み時間はさらに短く、試験終了時刻が15:10、説明開始時刻は15:45です。短時間の勉強で頭を混乱させるより、次の試験に備えてリラックスすることを優先的に考えましょう。
MediE医師講師 凛子 先生のワンポイントアドバイス
休み時間に答え合わせはしないようにしましょう。そこで間違いなどを見つけてしまうと、精神的に“これ以上は間違えられない”というプレッシャーがかかり、その後の試験に悪影響が出てしまいます。なるべく終わった試験を引きずらず、次の試験に切り替えることが大切です。
時間が足りない?医師国家試験本番の対策
時間内にすべての問題を解き終えるには、ペース配分が大切です。緊張して慎重になり過ぎたあまり、ひとつの問題に必要以上の時間を費やしてしまう可能性もあります。分からない問題や迷った問題は後回しにするなどして、効率よく問題を解いていけば、集中力は維持できます。また、集中力を保つには体力も必要です。食事の内容や睡眠時間に十分注意して、体調を崩さないよう心掛けましょう。
過去問の反復あるのみ
医師国家試験では、基本問題が多く出題される傾向にあります。出題の傾向を把握するには、過去問の反復が有効です。過去問を繰り返し解くことにより、適切な時間配分も身に付きます。問題数の多い医師国家試験は、ひとつの問題にかけられる時間が限られています。時間配分を誤らないよう、繰り返しシミュレーションを行っておけば、落ち着いた気持ちで試験本番に臨めるはずです。
試験当日の時間割を想定した学習リズムをつくる
医師国家試験は長時間におよぶため、精神的にも肉体的にもハードです。体力や集中力がベストな状態で試験当日を迎えられるよう、本番の数週間前から試験当日の時間割を踏まえた学習リズムをつくっておくと安心です。起床や就寝時刻、食事の時間、勉強する時間など、試験当日のスケジュールを意識して、うまくリズムに慣れておきましょう。
まとめ
医師国家試験を乗り切るためには、精神力と体力が欠かせません。試験当日に向けてベストなコンディション保てるよう、生活習慣を見直すことも大切です。過去問を反復する際は、問題を解くペース配分にも意識を向けるようにしましょう。
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第117回医師国家試験に関する情報をまとめた動画も公開しています。ぜひ、参考にしてみてください。
●【医学生】第117回 医師国家試験【CBT化】