医学生が在学中に取得すると良い資格は複数あります。この記事では、代表例である心電図検定を中心に、おすすめの資格を紹介します。心電図検定の試験内容や取得によるメリット、心電図検定に向けた勉強法について、重要ポイントを押さえましょう。
医学生にもおすすめ? 心電図検定とは
心電図検定は、心電図の判読能力を測る検定です。一般社団法人日本不整脈心電学会が主催し、第一回目の検定は2015年に実施されました。
検定の目的は、「心電図にかかわる多くの知識を普及させ、我が国の医療の質の向上につながる活動を支援すること」です。
日本不整脈心電学会では、心電図検定について以下の情報を提示しています。
実施頻度:年1回
例年では10月中に申込が終了し、翌年1月に試験が実施されます。詳しい申込期間や試験日は、日本不整脈心電学会のホームページを確認してください。
【参照元】一般社団法人日本不整脈心電学会|心電図検定について
マイスターから4級までの各試験内容
心電図検定は、1級から4級、マイスターで構成されています。どの級からでも受験可能であり、下位級に合格していなくとも、上位級の受検は可能です。ただし、複数の級を併願することはできません。
各級の試験内容について、日本不整脈心電学会のホームページで記載されている内容をまとめて紹介します。
心電図検定マイスター
1級合格者の中でも高得点者は、マイスターに認定されます。マイスターに求められるレベルは、「心電図の極めて高度で専門的な判読力を有するもの」です。
1級から4級の合格者には合格証とバッジが授与されますが、マイスターには認定楯とバッジが授与されます。
心電図検定1級
心電図検定1級に求められるレベルや試験内容は、以下の通りです。
試験形式:マークシート方式
試験時間:90分程度
試験内容:心電図のエキスパートを目指す方々を対象とした12誘導心電図の読影など
出題数:50問
合格率(2022年1月実施分):54.5%
受検料(税込み):10,000円
試験では、12誘導心電図の読影に加えて、基本的な心電図所見、患者さんの状態・疾患・病態から起こり得る変化に関する問題が多く出題されます。疾患に関する知識も必要です。
心電図検定2級
心電図検定2級に求められるレベルや試験内容を、以下に示します。
試験形式:マークシート方式
試験時間:90分程度
試験内容:12誘導心電図を題材として、基本的な心電図所見を問う問題など
出題数:50問
合格率(2022年1月実施分):69.1%
受検料(税込み):8,000円
試験では、不整脈、虚血性変化や、疾患による心電図所見の判読なども出題されます。
心電図検定3級(医学生にもおすすめ)
心電図検定3級に求められるレベルや試験内容は、以下の通りです。
試験形式:マークシート方式
試験時間:90分程度
試験内容:12誘導心電図を題材として、基本的な心電図所見など
出題数:50問
合格率(2022年1月実施分):75.9%
受検料(税込み):6,000円
試験では、危険な不整脈や臨床現場でよく出会う不整脈の心電図、ペースメーカの心電図の判読に関する問題も出題されます。
心電図検定4級(医学生にもおすすめ)
心電図検定4級に求められるレベルや試験内容は、以下の通りです。
試験形式:マークシート方式
試験時間:70分程度
試験内容:モニター心電図、ホルター心電図や12誘導心電図の基本的な所見を問う問題など
出題数:50問
合格率(2022年1月実施分):84%
受検料(税込み):6,000円
心電図検定4級の対象は、心電図の読影を始めて間もない人です。そのため、参考書・問題集をもとに勉強すれば、初心者でも合格を狙えるでしょう。
医学生が心電図検定を取るメリット
医学生が心電図検定を取得するメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 心電図に関する知識を得られる
- 資格取得により自信を得られる
- 就職活動でアピールできる
心電図検定を取得できれば、心電図に関する専門的な知識を身につけられると同時に、自信にもつながるでしょう。
もちろん知識や資格は、実際の病院勤務時に役立ちます。また、将来の就職活動でも資格保有をアピール可能です。
心電図検定の勉強法
ここからは、心電図検定合格を目指し、効果的に勉強するためのポイントを紹介します。
心電図検定ではすべての級で「12誘導心電図の読影」が求められます。したがって「読影の学習を基軸として、他の過去問を繰り返し解く」という方針をとることがおすすめです。
具体的な勉強法について、以下に解説します。
公式サイトのアプリを使う
アプリを使って勉強を進めましょう。日本不整脈心電学会の公式サイトでは、スマートフォン用の「不整脈診療アシスタント(医師向け・循環器不整脈診療補助アプリ)」が公開されています。
アプリを利用すれば以下の項目を明瞭に把握できます。
- 不整脈診療に必要なガイドライン
- 抗凝固薬の用法・用量
- 腎機能低下時の抗不整脈薬
- 循環器薬の減量
【参照元】一般社団法人 日本不整脈心電学会|不整脈診療アシスタント(医師向け・循環器不整脈診療補助アプリ)公開
問題集と関連書籍から学ぶ
検定本番に向けて、過去問を繰り返し解くことが重要です。まずは過去問を一度解いてみて、試験の傾向や難易度を把握してください。
問題集の解説部分も読み込み、関連書籍を複数参照して、さらに知識を蓄えていきます。理解が深まったら再び過去問を解きましょう。
日本不整脈心電学会編著の公式問題集&ガイドには、2級から3級を対象にした111問の想定問題が掲載されています。判読のポイントや考え方についても詳細な解説が記載されているため、何度も復習することで知識を定着させられるでしょう。
【参照元】一般社団法人 日本不整脈心電学会|公式問題集および参考書籍
YouTubeなどの動画から学ぶ
動画を利用して勉強するのもおすすめです。YouTubeで「心電図検定」と入力してみましょう。
検索結果には、勉強法や問題の解き方についての動画一覧が表示されます。評価の高い動画も多くあるため、まずはそれらを参照してみてください。
また、特に自分が知りたい問題やポイントについて解説している動画を探してみてもよいでしょう。先述の過去問チェックを基本としつつ、ポイントを絞った動画学習なども取り入れることで、効率的に理解を深められるでしょう。
医学生が在学中に取っておくと良い他の資格
一般に、医学生が取得を目指すべき資格は医師免許です。しかし、在学中に他の資格も取得しておけば、学習や就職活動に役立てられ、将来の可能性を広げられるでしょう。
そこでここでは、医師免許・心電図検定に加えて、医学生に取得をおすすめできる資格を3つ紹介します。
英検、TOEIC、TOEFL
英検やTOEIC® Listening & Reading Test、TOEFL ITP®テストでは、読む力や話す力、聞く力や書く力などが総合的に問われます。通知される試験結果は、英語力を客観的に証明する資料として利用可能です。
一定以上の英語力を示すことで、大学の単位認定、海外留学や就職に有利に働く場合があります。
医師国家試験にも英語問題が出題されるため、その対策として、英検・TOEIC・TOEFLを通じて英語力を身につけておいてもよいでしょう。
高い級で合格できたり、各種テストで高得点を取得できたりする英語力があれば、海外の大学院や医療機関も卒業後の進路として開けてきます。
【参照元】公益財団法人 日本英語検定協会|英検(実用英語技能検定)
【参照元】一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会|TOEIC® Listening & Reading Test
【参照元】TOEFLテスト日本事務局|TOEFL ITP®テスト
スポーツ医学検定
スポーツ医学検定は、スポーツによるケガの知識を問う検定試験です。合格には、人体一般についての知識も要求されます。
一般社団法人日本スポーツ医学検定機構が実施しており、スポーツ医学の知識を広め、安全なスポーツ環境を構築するために作られました。
3級(ベーシック)・2級(アドバンス)・1級(マスター)に分けられ、試験では身体やスポーツのケガに関する知識が問われます。マークシート形式で出題され、どの級からでも受検可能です。
検定を通して習得する知識は、ケガの予防・対処に役立ちます。正しいスポーツ医学の知識が広がれば、選手たちがケガをするリスクも低減し、日本のスポーツ界全体の競技力向上につながるでしょう。
【参照元】一般社団法人 日本スポーツ医学検定機構|スポーツ医学検定
赤十字救急法救急員
赤十字救急法救急員は、日本赤十字社が定める技術認定であり、民間資格です。救急員になるには、基礎講習(4時間)と救急員養成講習(10時間)を受けなければなりません。
基礎講習では傷病者の観察の仕方や一時救命処置(心肺蘇生やAEDを用いた除細動など)の基礎、救急員養成講習では急病、ケガの手当てから搬送・救護について幅広く学びます。
講習を通して事故・救急現場で必要な救急法の知識・スキルを得られます。全課程修了者には受講証が交付され、さらに検定合格者には赤十字救急法救急員認定証が交付されます。
【参照元】日本赤十字社|救急法
【参照元】株式会社日赤サービス|赤十字救急法基礎講習教本
MediE医師講師 凛子 先生のワンポイントアドバイス
大学によっては「TOEICやTOEFLで何点以上取らなければ進級できない」などの条件を課している場合もあります。
また国試にも英語の問題が出題されますが、毎年「英語問題がわからなかった」という受験者も多からずいます。
医学に関する事柄を英語でも理解できるよう、勉強しておきましょう。
まとめ
心電図検定は、医学生におすすめの検定のひとつです。1級から4級まであり、優秀な成績での1級合格者はマイスターとして認定されます。アプリや問題集を使い、過去問を解いて実力をつけましょう。
知識・スキルは就職活動や病院での業務に役立ちます。あわせて、英検やスポーツ医学検定などを受験してもよいでしょう。
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