今まで公開したエッセイ:
臨床研修中断までの道――職場に休みたいと言ってみた(エッセイその2)
休職中に候補病院探し
11月のはじめ、臨床研修センターとの2度の面談を終えた私はついに1ヶ月休職することになった。
※ここでの「休職」とは90日以内の休職制度に基づき、90日以内(私の場合およそ30日間)で臨床研修を休むこと。
臨床研修中断とは別物。籍はまだ前病院に残しつつ仕事はしていない状態。
休職期間中も給与は通常通りもらえたが、退職後は勤怠調整精算され一部返金した。
※「臨床研修中断」とは90日を超えて臨床研修を中止すること。
その後の臨床研修を再開する場合は、同じ病院で再開するか他の病院で再開する(この場合、前病院を”退職”し籍は抜かれる)か選択することができる。詳しくはこちら(厚生労働省のサイト)
休職して間もない頃、医師国家試験予備校 MECさん(こちらタップでホームページへ)に電話をして臨床研修中断後再開受け入れ病院を探した。
電話をかけ臨床研修再開受け入れ病院を紹介して欲しいと伝えると、どのような病院がよいかと条件を聞かれた。
関東の病院であることや忙しくないこと、研修医募集人数が少なめであることを伝えると5つ、病院の候補をもらった。
やはり東京の臨床研修再開受け入れ病院で私の条件に合うところはないようだった。
5つの病院のうち1つ、気になる病院があったが「いつか気が向いたら連絡してみよー」と思ったくらいで、その時は何もしなかった。
まずは今の病院での臨床研修中断が先、そう思っていたから。
現状に不安
毎日好きなだけ寝たり、平日の昼に気になるカフェに行ったり、飲みに誘われても当直だからと断らずに済む嬉しさを噛み締めたり…
休職中の私は、あの忌まわしき病院から離れられたことと自由気ままに生活できることが嬉しくて仕方なかった。
──でもやっぱり、幸せは長くは続かない。数日経ったところでふと考えてしまったのだ。
今月は『休職中』だから給料は出るけど、いざ臨床研修を中断してからのお金はどうしたらいいんだ…?
そもそも臨床研修を他の病院で再開するなら、その時期はいつからになるんだ…?
そしてちゃんと今の病院辞めて無事臨床研修中断できるんだろうか!?
色んなことが不安になりはじめてしまったのだ。
厚生局に行ってみた(超有力情報)
居ても立っても居られなくなった私は、厚生労働省のホームページを改めて見た。
すぐに厚生局に電話をした。関東の厚生局は埼玉にしかないようで、家からは遠かったが明日行きますと言って電話を切った。
自分の状況説明や質問など色々話したら、電話だと長電話になるだろうし直接話をしたかった。
11月半ばだというのに、雪が降りそうなくらい寒い日だった。東京からさいたま新都心まで、戦場に向かう兵士のような気分で関東信越厚生局へ向かった。
着くと直ぐに「ああ、昨日の電話の!」と言って職員の方が来てくれた。
私は、
・初期臨床研修中断を考えているが、病院側が中断を認めてくれるか
・臨床研修を再開するときは中断前のプログラムがそのまま引き継げるのか
・臨床研修を再開するならいつ頃からになるのか
・再開受け入れ病院について
など質問をした。
厚生局職員の方からの答えをまとめると以下の通りであった。
[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” font_size=”17″]自分は初期臨床研修の中断を求めているが、病院はそれを認めてくれるのでしょうか?[/word_balloon]
[word_balloon id=”6″ position=”R” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true”]臨床研修指定病院が研修医から中断の申し込みを受けた場合、すぐには認めないことが多いです。
まずは90日以内の休職制度で休職することを勧めてきます。
いきなり臨床研修中断させないというのは、必ずしも嫌がらせや圧力というわけではなく臨床研修指定病院の義務なのです。
休職期間が終わる頃にもう一度、直接臨床研修センターの事務の方や先生方とお話してみてください。
それでも認められなかった場合、当局に連絡をください。
その時は病院にはこちらから指導が入ります。[/word_balloon]
この言葉でどれほど安心したことか。
これが聞けただけで今までの苦労が全て報われたような気がした。
[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” font_size=”17″]臨床研修を中断してその後再開した場合、中断以前のプログラムは次の病院でも引き継がれるのでしょうか?[/word_balloon]
[word_balloon id=”6″ position=”R” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” font_size=”17″]
臨床研修プログラムは引き継がれます。例えば救命救急科で既に3か月研修を行っているのであれば、次の病院では救命救急科ローテは必要ありません。[/word_balloon]
[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” font_size=”17″]臨床研修中断後、再開はすぐにできるのでしょうか?[/word_balloon]
[word_balloon id=”6″ position=”R” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” font_size=”17″]病院次第ですが、多くの場合4月スタートになります。
また臨床研修再開後の研修期間に関してですが、こちらも中断以前の研修期間を引き継ぐことができます。
例えば半年間臨床研修してから中断した場合、再開後は残り1年半分を研修すればよいのです。
振出しに戻ってまた2年間研修しなくてはならない、というようなことはありません。[/word_balloon]
[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” font_size=”17″]どんな病院なら臨床研修中断者を受け入れてくれますか?[/word_balloon]
[word_balloon id=”6″ position=”R” size=”M” balloon=”talk” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” font_size=”17″]臨床研修中断後再開受け入れをしている病院は、マッチング(臨床研修をまだ始めていない医学生等が研修病院をどこにするか決めるための就活)枠とは別に再開者受け入れ枠を設けています。
具体的にどの病院が受け入れしているかは、ご自身でご連絡していただくしかありません。[/word_balloon]
なるほど。とにかく、関東信越厚生局まで足を運んだ甲斐があった。
その日は、この上ない安心を得られて幸せな気持ちで帰った。
今後の生活について考える
さて、研修センターの事務の方や先生方と次の面談をしなくてはならないのか。
気は重いがそれは休職期間が終わる少し前、つまり12月のはじめ頃にするとして
目先私がやるべきことは、臨床研修を中断してから再開するまでの収入をどうするか考えることだ。
それからというものの、臨床研修を中断したら「医師免許を所持したニート」になる私にできることは何か考え始めた。
この記事を書いたのは
医師、112回不合格、113回合格。医療エンタメトップライター、編集もこなしエンジニアとしても活躍。国試合格後、喜び勇んで初期臨床研修を始めるも半年で研修中断。そんな中折れ研修医がこれからどう生きていくのか臨場感をもってお届けする。臨床研修医を中断するにはどうすればよいのか、そして再開するにはどうすればよいのかを伝える。