課題シート
【課題シート1】
あなたは初期研修医です。外来にやってきた以下の患者さんを診察してください。
患児:〇〇△△くん 2歳6ヶ月 男児
母親:〇〇▽▽さん 27歳
主訴:発熱、頸部の腫脹
【課題シート2】
身体所見は以下の通りです。追加の診察を行なってください。
意識は清明。体長89cm、体重13kg。体温38.5℃。脈拍140/分、整。血圧90/60mmHg。呼吸数22/分。
【課題シート3】
指導医にこの患者について報告してください。
患者役用シート
O(onset発症様式):3日前から38 ℃台の発熱が続き、今朝から頸部の腫脹に気付いた。
P(palliative/provocative 増悪・寛解因子):特になし
Q(quality/quantity 症状の性質・ひどさ): 結構くるしそう
R(region/radiation 場所・放散の有無):わからない
S(severity/associated symptom 程度・随伴症状):眼も赤いし、口がただれているみたい、舌も腫れているように思える。
T(time course 時間経過):3日前から発熱。おとといから上記随伴症状にも気づいた。
P(past medical history 既往歴):なし
A(allergiesアレルギー):とくになし
M(medication 服薬歴):とくになし
H(hospitalization 入院歴・手術歴):入院・手術はしたことがない。輸血歴なし
U(urinary 排尿):変化なし
G(gastrointestinal 消化器症状・排便・食欲・体重変化):便秘、下痢、血便なし。食欲は変わらない。体重変化わからない。
S(sleep 睡眠):眠れている。
O(OB/GYN妊娠歴・月経歴): -
S(social history 喫煙歴・飲酒歴・職業・趣味・渡航歴・ストレスなど):
飲酒、喫煙:-
発達歴、発育歴:39週で出生、2800g。今までの健診や保育園で指摘されたことはない。ワクチンは全部打っている。
S(sexual history 性的活動):―
解釈モデル:兄(5歳)は元気だし、同じ保育園の園児も同じような症状の子供はいない様子。この子だけこの症状だから気になる。
現 症:両側眼球結膜に充血を認める。口唇の紅潮、いちご舌。左頸部に径3 cmのリンパ節1個と径2 cmのリンパ節1個とを触知する。前胸部に紅斑を認める。BCG接種部位は変化なし(BCGを摂取したのは5か月のとき)。
聴診所見は異常なし。
右肋骨弓下に肝を2 cm、左肋骨弓下に脾を1 cm触知する。
ポイント
小児の診察は胸部→腹部→頭部の順に行いましょう。
(1) 発熱(2) 両側眼球結膜の充血(3) 顔面写真での口唇の発赤(4) 前胸部の紅斑(5) 頸部リンパ節腫脹
が聴取ないしは診察できていればもう川崎病だということはわかりますね。
右肋骨弓下に肝を2 cm、左肋骨弓下に脾を1 cm触知する。とありますが、小児では正常です。
ちょっと小ネタとして心音と呼吸音は泣いていて聴取できないなんていうこともあるかもしれません。その場合はまずお母さんにあやしてもらうようにお願い→泣き止んだら…聴診所見は異常なし。というように進行することも実臨床ではあったりします。患者役の方はこの小ネタを挟むのも良いでしょう。
想定疾患:川崎病
鑑別診断:感染症(アデノウイルス、EBウイルス、インフルエンザ、麻疹…)、若年性特発性関節炎、
今後の検査:心エコー、心電図、血液検査、胸部レントゲン、咽頭培養、血液培養、尿検査
小児特有の気を付けることを赤字で書いてあります。注意して診察しましょう。